遺品整理で布団が大量に…押入れのマットレス処分どうする【現場の整理術】

押入れの襖(ふすま)を開けたら、来客用の布団が上下二段にびっしり。その手前に座布団の束、奥から出てきた毛布、和室の隅には親が使っていたスプリング入りのマットレス。「これ、どうやって運ぶんだ」と手が止まった方は少なくないと思います。
量が多いのは、あなたの家だけではありません。昭和に建てられた家は、来客用の寝具をひと揃い以上持っているのが普通でした。そして布団は、遺品整理の現場で一番かさばる不用品です。売れないのに嵩(かさ)があるので、業者見積もりの「物量」にはしっかり効いてきます。
筆者は愛知県名古屋市で遺品整理・買取・生前整理の実務に携わり4年目になります。古物商許可(愛知県公安委員会)を持ち、現場作業と査定の両方に入っています。この記事では、私の現場で実際に使っている処分費の目安と、売れる寝具・衣類の線引きを、数字を添えて正直にお伝えします。
この記事でわかること
- 布団1組あたりの処分費の目安と、買取になる寝具・ならない寝具の線引き
- 布団・座布団・スプリングマットレスで処分ルートが分かれる理由と、自治体への確認ポイント
- 「事前に可燃ごみで出す」「トラック回収だけ頼む」など、費用を数万円単位で変える段取り
- マットレスを動かす前に確認してほしい「下に挟まっている物」
布団・マットレスは売れる?処分費は1組いくら?現場の線引き

先に結論です。使用済みの布団は、衛生面の理由で基本的に買取できません。私の現場では、圧縮袋でまとめて搬出するか、可燃ごみとして処理します。処分費の目安は、1組(敷布団+掛布団)あたり約1,000〜3,000円です。
たとえば来客用の布団が5組残っていると仮定すると、それだけで5,000〜15,000円ほどになる計算です。「売れない物にお金を払う」のは悔しいところですが、ここを最初に知っておくと、見積もりを見たときに慌てずに済みます。
例外は、未使用・箱入りの高級羽毛布団(西川など)です。こちらは数千円で買い取れる場合があります。贈答でもらったまま押入れの奥にしまわれていることが多い品です。
寝具と一緒に押入れから出てくることが多い衣類も、あわせて線引きしておきます。
| 品物 | 現場での扱い | 金額の目安(私の現場の実績) |
|---|---|---|
| 使用済みの布団・毛布 | 買取不可。圧縮袋で搬出または可燃処理 | 処分費 1組あたり約1,000〜3,000円 |
| 未使用・箱入りの高級羽毛布団 | 買取できる場合あり | 数千円 |
| ノーブランドの一般衣類 | 海外輸出・ウエス(工業用の雑巾)用にキロ単位でまとめ引き取り、または自治体の古布回収 | 1キロあたり数十円〜数百円 |
| ハイブランドの服・ヴィンテージのスカジャン・レザージャケット・状態の良い高級ダウン | 買取対象 | 1点約5,000円〜10万円以上 |
つまり押入れの中で「お金になる可能性がある物」は、寝具よりも衣装ケースの中の上着類です。布団の山に気を取られて、奥の衣装ケースごと処分に回してしまうのが一番もったいない流れです。革ジャンや高級ダウンは、処分する前に一度査定に出してください。
布団・座布団・マットレスの処分ルートは4つ|自治体ルールの確認が先

押入れの寝具類は、次の4ルートのどれかに振り分けていくことになります。
| ルート | 向いている物 | 手間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自治体の粗大ごみ収集 | 布団・毛布・マットレス | 予約と搬出が自分 | 品目区分・サイズ上限が自治体ごとに異なる |
| 自治体の指定施設へ自己搬入 | 量がまとまっている場合 | 車両と人手が必要 | 受付日時・持ち込み条件の事前確認が要る |
| 可燃ごみとして少量ずつ | 座布団・小さな毛布など | 回収日ごとに分割 | 可燃扱いかどうかは自治体で分かれる |
| 業者にまとめて依頼 | 押入れ一間ぶんの大量品 | 立ち会いのみ | 物量で費用が変わる |
同じ「布団」でも、自治体によって粗大ごみか可燃ごみかが分かれます。家庭ごみ(一般廃棄物)の処理は市町村が責任を持つ仕組みで、品目の区分やサイズの基準も市町村ごとに決められているためです(環境省「廃棄物処理」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/ )。名古屋市も、品目ごとの出し方を市のサイトで公開しています(名古屋市公式サイト https://www.city.nagoya.jp/ )。実家の所在地の自治体サイトで「布団」「マットレス」と検索するか、清掃事務所に電話で聞くのが一番早い手順です。
自治体に聞く4項目
- 布団・毛布は粗大ごみか可燃ごみか(紐で縛る本数の上限があるか)
- 座布団の扱い(枚数制限があるか)
- スプリングマットレスを受け付けているか(受付不可の自治体もあります)
- 1回に出せる点数の上限と、申込から収集までの待ち日数
粗大ごみの予約は「1か月待ち」になることがある
4つ目の待ち日数は、甘く見ないでください。私の現場で実際にあった例です。自治体の粗大ごみ戸別収集で安く済ませようとしたご家族が、引っ越しシーズンの3〜4月と重なって予約が1か月先まで埋まっていました。マンションの解約日に間に合わず、日割り家賃の延長と、急ぎの即日不用品回収が重なって、最初から計画的に任せるより割高になりました。
布団やマットレスのように点数が多い品を粗大ごみで出す場合は、退去日・解約日から逆算して、最初に予約枠を確認するのが段取りの一歩目です。
スプリングマットレスは、自治体の粗大ごみ収集で受け付けていない、あるいは別扱いになっている場合があります。確認せずに収集日に出すと取り残しになり、集合住宅や近隣に迷惑をかけることがあります。出す前に品目の可否を確かめてください。
スプリングマットレスを自分で解体しないほうがよい理由

ネットには「自分で解体すれば可燃ごみで出せる」という情報もあります。ただ実務の立場からは、ご家族が自力でやる作業としてはおすすめしません。理由は3つです。
- 工具が足りない:内部のコイルは太く、家庭用のニッパーやカッターでは歯が立たないことがあります。ボルトクリッパーや金切りバサミが要ります。
- 怪我をしやすい:生地を裂いた瞬間にコイルが跳ねます。切断面は鋭く、軍手では防げない切り傷になることがあります。
- 分別の手間が割に合わない:ウレタン・不織布・木枠・金属バネと素材が混在し、分けきった先でそれぞれの出し方を調べ直すことになります。
マットレスやベッドフレームのように「家族だけでは階段から降ろせない大物」だけを業者に頼む方法もあります。私の現場では、2階のタンス・大型冷蔵庫・ベッドフレームなど大物数点だけのスポット搬出で約2万〜4万円でした。このときはご家族が事前に小物の袋詰めを済ませていたので、費用を最小限に抑えられています。
マットレスを動かす前に、下をのぞいてください
現場で遺言書が見つかる場所は、仏壇の引き出しが最も多いのですが、マットレスの下も実際に出てくる場所の一つです。封のある遺言書を見つけたら、その場で開けずにビニール袋などで保護して保管してください。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いのもとで開封する決まりになっています(出典:裁判所「遺言書の検認」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html )。
押入れの寝具を安く出す段取り|費用を数万円単位で変える3つの工夫

寝具は売れないぶん、業者の作業量をどれだけ減らせるかが費用の差になります。
1. 可燃ごみで出せる物は、ゴミの日に先に出しておく
現場で最も人件費がかかるのは、大物の搬出ではなく「細かい物の分別・箱詰め」です。自治体の袋に入る衣類・本・生活ゴミをご家族が事前にゴミの日に出しておくと、作業人数と時間が減り、見積もりが数万円単位で下がる場合が多いです。
布団が可燃ごみ扱いの自治体なら、座布団や毛布から少しずつ出していくだけでも効いてきます。参考までに、4LDKの一軒家を丸ごと片付ける場合、私の現場ではスタッフ4〜6名で1日〜1.5日が典型です。この「人数×時間」を減らすのが、事前のゴミ出しです。
2. 「仕分けは家族、運び出しだけ業者」に分ける
部屋の中の仕分け・袋詰めをすべてご家族で終わらせ、搬出・積み込み・処分代行だけを頼む形もあります。私の現場での実例では、次の金額でした。
| 頼み方 | 金額の目安(実例) |
|---|---|
| 仕分け済み不用品のトラック回収(軽トラ1台) | 約1.5万〜2.5万円 |
| 仕分け済み不用品のトラック回収(2トン車1台) | 約4.5万〜6.5万円 |
| 大物数点だけのスポット搬出 | 約2万〜4万円 |
「全部依頼か全部自力か」の二択にせず、重い物と処分ルートだけを買うのが、いちばん安い組み合わせになりやすいです。
3. 残す一組を先に抜き、上掛けは圧縮する
業者と一緒に「要る・要らない」を相談しながら進めると、その判断時間も作業時間に含まれます。残す物を先にご家族で確保し、残りをまとめて依頼するのが基本形です。
圧縮袋は「かさばる上掛け類だけ」に絞るのが現実的です。
| 寝具の種類 | 圧縮の向き | 補足 |
|---|---|---|
| 羽毛布団・毛布 | 向いている | よく縮む。未使用の箱入りは圧縮せず査定へ |
| 綿わた・羊毛の敷布団 | あまり向かない | 厚く硬いため縮みにくい |
| 座布団 | まとめて縛るほうが早い | 枚数が多いと袋代が負担になる |
| スプリングマットレス | 不可 | 別ルートで検討 |
💬 現場のひとこと
押入れを開けて布団の山が出てくると、ご家族はたいてい「こんなに使ってなかったのに」と苦笑いされます。来客用をひと揃い以上しまってあるお宅は本当に多いんですわ。
正直に言うと、使用済みの布団は1組あたり1,000〜3,000円の処分費がかかる側の品です。ただ、同じ押入れの衣装ケースから革ジャンや状態のいいダウンが出てくると、こっちは数千円から、物によっては10万円を超えることもあります。だから布団は早めに出してしまって、衣類のケースだけは一度開けて見てほしいんです。
それと、空き家のまま締め切って放っておくと、湿気で布団も衣類もカビだらけになります。雨漏りした家で、本来売れたはずの物までまとめて有料処分になった現場もありました。寝具は「迷わず出せる物」の代表なので、着手の一歩目にちょうどいいですよ。
後悔しない遺品整理業者の選び方と、寝具の伝え方
寝具は売れないのに嵩があるため、見積もりでは「物量」としてストレートに効いてきます。見積もりを取る段階で寝具の量を正直に伝えておくことが、当日の追加請求トラブルを避ける近道です。
見積もり時に伝える・聞くこと
| 伝えること | 聞くこと |
|---|---|
| 押入れ何間ぶんの寝具があるか | その量で金額は変わるか |
| スプリングマットレスの有無と枚数 | マットレスは別料金か |
| 衣装ケースの中に上着類があるか | 買取できる物は見積もりから差し引かれるか |
| 搬出経路(階段・エレベーターの有無) | 最大でいくらになるか |
最後の「最大でいくらになるか」は、押さえておきたい質問です。「50万くらい」という見積もりは、それが最低額なのか最高額なのかで意味がまったく違います。確認しないまま進めて揉めるケースがあるため、上限額と、その金額で請け負ってもらえるのかをはっきり聞いてください。「この金額でやります」と言い切る業者を選ぶと、後で揉めにくくなります。
相場からかけ離れた高額な追加請求、預けた鍵の紛失、着手や進捗の連絡がないまま作業が長期化した、といったトラブルの報告があります。鍵を預ける前に業者の所在と連絡体制を確かめ、契約時に「作業期間」「進捗連絡の頻度」「追加請求の上限」を書面で決めておくことをおすすめします。困ったときは、国民生活センター( https://www.kokusen.go.jp/ )や消費者ホットライン「188」で相談できます。
見積もりの読み方や比較のポイントは、遺品整理の見積もりで後悔しないための全知識でも整理しています。
まずは1社に見積もりを取り、相場の物差しを作る
ご兄弟やご親族と費用を分担する場合、「いくらかかるのか」という数字が1つもないまま話し合うのは、お互いにつらいものです。費用や形見分けで揉めるケースは、実はとても多いです。まず1社に見積もりを依頼して金額の物差しを作り、そのうえで相見積もりを取って比較する順番なら、落ち着いて進められます。
見積もりは比較のための判断材料として使ってもらって構いません。その場で契約する必要はありません。一人で全部背負わなくて大丈夫です。
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こちらは複数社を一括比較するサイトではなく、加盟店の中から対応できる業者を紹介・手配する紹介型のサービスです。シェアリングテクノロジー株式会社が運営しており、紹介サービスの利用(相談・業者の手配)は無料です。
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よくある質問
Q1. 押入れの布団を可燃ごみで少しずつ出すのは問題ありませんか?
布団を可燃ごみとして扱えるかどうかは自治体によって分かれるため、まず品目区分を確認してください。可燃扱いの地域なら、ゴミの日に少しずつ出しておくことで、業者に頼む物量を減らせます。1回に出せる本数や縛り方の指定がある場合は、それに従ってください。
Q2. スプリングマットレスだけ業者に頼むことはできますか?
受け付けている業者はあります。ただ1点だけだと出張費の比重が大きくなるため、ベッドフレームや大型家具など「家族では降ろせない大物」をまとめてスポット搬出にすると割安です。私の現場の実例では、大物数点で約2万〜4万円でした。
Q3. 遠方に住んでいて、実家に通う回数を増やせません。立ち会いは必要ですか?
多くの業者では、見積もり時と作業当日の立ち会いが基本です。事前に残す物を抜いておけば、当日の確認は短く済みます。粗大ごみの予約が1か月先まで埋まる時期もあるので、通える回数が少ない方ほど、自治体収集と業者依頼の分担を最初に決めておくのがおすすめです。
まとめ
押入れの寝具類は、売れにくく、しかし嵩があるという扱いにくい品物です。要点を3つにまとめます。
- 布団は処分費がかかる側、衣類は査定する側:使用済みの布団は1組あたり約1,000〜3,000円の処分費が目安。一方、衣装ケースの革ジャンや高級ダウンは約5,000円〜10万円以上の値がつくことがあるので、まとめて捨てない。
- 自治体ルールと予約枠の確認が先:粗大ごみか可燃かは自治体で分かれ、繁忙期は予約が1か月先まで埋まる。期限から逆算して段取りを組む。
- 業者の作業量を減らした分だけ安くなる:可燃ごみの事前出し、仕分け済みのトラック回収(軽トラ1台約1.5万〜2.5万円)など、頼む範囲を絞ると費用が変わる。
押入れの布団の山を前に立ちすくんでしまうのは、ごく自然なことです。すべてをご自身の腕と休日で解決しようとせず、運ぶ部分は人の手を借りる前提で段取りを組んでみてください。
まずは金額の目安を手に入れることから。見積もりは比較のためだけに使ってもらって構いません。
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