遺品の賞状・トロフィーの処分に迷う方へ【勲章・制服・記念品の線引き】

実家の押し入れを開けると、筒に入った賞状、ほこりをかぶったトロフィー、桐箱に入った勲章、退職のときにもらった置き時計が出てくることがあります。「自分の思い出ではないから処分できるはず」と思っても、いざゴミ袋の前に立つと手が止まってしまう。そう感じるのはあなただけではありません。多くの方が同じように迷いながら片付けを進めています。
写真や手紙は「家族の思い出」です。一方で、賞状やトロフィーは「故人が外で積み上げた功績」の証です。自分には思い出がないのに、捨てると故人の人生を否定するような気がする。この品物には、そういう独特の重さがあります。
私は愛知県名古屋市で遺品整理・買取・生前整理の仕事をしているショウです。古物商許可(愛知県公安委員会)を持ち、現場作業と買取査定の両方に関わっています。この記事では、故人の功績や肩書きに関わる品物に絞って、残す量の決め方と、捨てる前の確認先を整理します。
この記事でわかること
- 賞状・トロフィーは「全部残す・全部捨てる」以外の選び方ができる
- 額や表彰盾は「中身だけ残す」と保管がぐっと軽くなる
- 勲章・褒章・記念貨幣、会社の制服・社章は自分だけで判断せず確認に回す
- 親族とのトラブルを防ぐ、処分前の声のかけ方
遺品の賞状・トロフィーは処分してよい?迷ったときの結論

結論から言うと、賞状やトロフィーは処分しても構いません。そのうえで、全部捨てるのではなく「代表を1〜2点だけ残し、ほかは写真で記録してから手放す」方法をおすすめします。気持ちの面でも保管スペースの面でも、この方法なら落ち着きやすくなります。
ただし、品物の中には自分の判断だけで捨てないほうがよい物があります。まずは次の表で、手元の品物がどこに当てはまるかを確認してください。
| 品物の種類 | 主な例 | おすすめの扱い |
|---|---|---|
| 功績の記録 | 賞状、感謝状、表彰状、卒業証書 | 代表を残し、ほかは写真に撮ってから処分 |
| かさばる記念品 | トロフィー、表彰盾、カップ、記念の置物 | プレートだけ残す/写真に撮ってから処分 |
| 価値を確認したい物 | 勲章・褒章、記念貨幣、記念メダル | 捨てずに保管し、価値確認や親族の確認に回す |
| 勤務先に関わる物 | 制服、作業着、社章、社員証、業務書類 | 勤務先へ返却の要否を問い合わせる |
| 退職記念品 | 置き時計、記念の品、寄せ書き | 実用品は使うか譲る、寄せ書きは写真に残す |
迷いを一気になくすのは難しいものです。「捨ててよい物」「確認が要る物」に分けるだけでも、作業はかなり進めやすくなります。
賞状・トロフィー・記念品の「残す量」を線引きする方法

賞状やトロフィーはかさばるうえ、数が多いのが特徴です。部活動から仕事、地域活動まで、何十年分もの賞状が残っていることもあります。残す量をあらかじめ決めておかないと、実家じまいの途中で手が止まりやすくなります。
代表を1〜2点選び、残りは写真で記録する
おすすめは、次の順番で進める方法です。
- 賞状・トロフィー類を1か所に全部集める
- 全体を写真に撮る(1点ずつと、並べた全体の両方)
- 故人がいちばん誇りにしていた物、家族の記憶に残っている物を1〜2点選ぶ
- 選ばなかった物は、写真に撮ったことを確認してから手放す
写真はスマートフォンで撮れば十分です。撮った写真をアルバムアプリにまとめたり、印刷して1冊のファイルにしたりすると、物は減っても「記録は残っている」という安心感につながります。
片付けの実務では、「まず明らかに不要な物を捨てて物量を減らし、迷う物はそのあとで判断する」という順番がポイントです。賞状類は迷う物の代表なので、ほかの片付けがある程度進んでから取りかかるほうが手は止まりにくくなります。決めきれない物は「今日決めなくていい、保留箱に入れておけばいい」と考えて構いません。
額や表彰盾は「中身だけ残す」と保管が軽くなる
保管を軽くするいちばんの近道は、外側を外して中身だけ残すことです。
| 品物 | 残す部分 | 手放す部分 | 保管の変化 |
|---|---|---|---|
| 額入りの賞状 | 賞状の紙 | 額縁・ガラス | クリアファイル1枚に収まる |
| 筒入りの賞状 | 賞状の紙 | 筒 | 平らに重ねて保管できる |
| 表彰盾 | 文字の入ったプレート(外せる場合) | 木製の台座 | 手のひらサイズになる |
| トロフィー | 名前・大会名の入ったプレート | 本体・台座 | 小箱にまとめられる |
額縁を外した賞状は、A4〜B4サイズの書類ファイルに入れると何十枚でも薄く保管できます。トロフィーを処分するときは、金属やプラスチック、木材が組み合わさっている場合が多いため、お住まいの自治体の分別ルールを確認してください(例:名古屋市のごみ・資源の分け方は https://www.city.nagoya.jp/ から確認できます)。
賞状には故人の氏名が大きく書かれています。そのまま捨てるのに抵抗がある場合は、名前の部分を切り取ったり、紙袋に入れて中が見えないようにしたりしてから出す方法もあります。
勲章・褒章・記念貨幣は自分で捨てずに価値確認へ

功績に関わる品物の中で、扱いに気をつけたいのが勲章・褒章と記念貨幣です。見た目は記念品に見えても、親族にとって大切な意味があったり、金銭的な価値があったりする場合があります。
勲章・褒章は国が功績を表彰する制度で、制度の概要は内閣府賞勲局のサイトで説明されています(https://www8.cao.go.jp/shokun/index.html )。勲章と一緒に、授与を証明する「勲記」「褒章記」という証書が保管されていることが多いため、セットでそろっているかを確認しておきましょう。
記念貨幣は、造幣局が製造している貨幣です(https://www.mint.go.jp/ )。記念貨幣は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づいて発行された法定通貨で、額面どおりの価値を持っています。額面は500円、1,000円、1万円、10万円などさまざまで、たとえば額面1万円の金貨が1枚あれば、それだけで1万円分の価値があります。うっかり捨ててしまうと、そのぶんのお金を捨てることになります。交換や取り扱いについては日本銀行のサイトでも案内されています(https://www.boj.or.jp/ )。
⚠️ 自己判断で捨てる前に確認を
- 勲章・褒章、記念貨幣、記念メダルは、ゴミとして処分する前に保管しておく
- 金・銀などの素材が使われている物は、素材としての価値がつく場合があります
- 本物かどうかや評価額は専門的な判断が必要です。古物商や専門の買取店で査定を受け、1か所の意見だけで決めないようにしましょう
- 親族が「形見として持っていたい」と考えている場合もあるため、売却の前に声をかけておくと安心です
私は古物商として査定に関わっていますが、鑑定の専門家ではありません。ここでは品物の価値を言い切ることはしません。「捨てる前にいったん止める物」として覚えておくのがいちばんの安全策です。
会社の制服・社章・業務書類は勤務先に確認する

故人が会社員や公務員だった場合、制服や作業着、社章、社員証、業務に関わる書類が残っていることがあります。こうした物は個人の持ち物ではなく、会社から貸し出された物の場合があります。返却を求める社内規程がある会社もあるため、処分する前に勤務先へ問い合わせておくと安心です。
| 品物 | 確認したいこと | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 制服・作業着 | 貸与品か、返却が必要か | 勤務先の総務・人事担当 |
| 社章・バッジ | 返却が必要か、処分してよいか | 勤務先の総務・人事担当 |
| 社員証・入館証 | 返却方法 | 勤務先の総務・人事担当 |
| 業務書類・手帳 | 社外秘の情報が含まれていないか | 勤務先の上司・総務担当 |
| 退職済みの場合の記念品 | 個人の物として扱ってよいか | 判断に迷う場合は元勤務先 |
退職してから年数がたっている場合は、すでに個人の持ち物になっていることがほとんどです。それでも、業務書類には顧客情報や社内の情報が残っている可能性があります。迷ったら勤務先に一本電話を入れておくと、あとで気がかりが残りません。
親族に「残してほしい人」がいないか先に確認する声のかけ方
賞状やトロフィーで意外と多いのが、本人は処分するつもりでいたのに、あとから親族に「なぜ相談してくれなかったの」と言われるケースです。故人の兄弟姉妹や、施設に入っている親御さんにとっては、その賞状が大切な記憶とつながっていることもあります。
親族から責められないためには、処分の前に「残してほしい物はないか」を聞いておくことがいちばんの予防になります。
角が立ちにくい声のかけ方の例
- 「お父さんの賞状やトロフィーを整理しようと思っているんだけど、持っていたい物があったら先に教えてほしい」
- 「全部は置いておけないので、写真に撮って記録してから代表だけ残そうと思っている。気になる物はある?」
- 「〇月ごろまでに整理したいので、それまでに見に来られそうなら声をかけてね」
ポイントは、「処分します」という報告ではなく「残したい物はある?」という相談の形にすることです。期限を添えておくと、返事を待ち続けて作業が止まることも防げます。
💬 現場のひとこと
賞状やトロフィーって、写真と違って「私の思い出じゃないで、捨てても大丈夫」と言いながら手が止まる品なんですわ。それだけ故人さんの頑張りが形になっとる、ということなんだと思います。
手放すのは、故人の人生を軽く見ているからではありません。写真に撮って、代表の1枚をきちんと残して、親族にも声をかけた。そこまでやったら、それはもう十分に向き合った証拠です。迷った物は無理に決めんと、保留箱に入れておくのが結局早いです。
ご自身の親御さんがまだ存命で、施設に入っているなどの事情がある場合は、「まだ早いかも」という迷いを抱えたまま進める方がほとんどです。勲章や代表の賞状だけでも手元に残しておけば、いつか親御さんと一緒に見返すこともできます。
処分に迷う遺品で後悔しない業者の選び方
賞状やトロフィーは、実家じまい全体の中では一部にすぎません。家財が多い場合や、通える回数が限られている場合は、遺品整理業者の力を借りるのも一つの選択肢です。
依頼前に「残す物」を先に取り分けておく
費用を抑えるうえでの実務上のポイントは、業者に依頼する前に、残したい物を家族で先に取り分けておくことです。業者と一緒に「要る・要らない」を仕分けしながら進めると、そのぶん作業時間が延び、料金が上がりやすくなります。賞状の代表、勲章、記念貨幣、勤務先に返す物を先に別の箱へ移しておけば、残りの処分を依頼するだけで済みます。
業者を選ぶときの確認ポイント
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 見積もりの金額 | 「最大でいくらになるか」を確認できるか |
| 追加料金 | 追加が発生する条件が説明されているか |
| 買取の対応 | 古物商許可があり、査定と処分をまとめて相談できるか |
| 貴重品の扱い | 作業中に見つかった物を引き渡してもらえるか |
| 契約の書面 | 作業内容・期間・金額が書面で示されるか |
見積もりを受けたときは、「この金額が最低額なのか、最大額なのか」を確認しておくことが大切です。遺品整理をめぐるトラブルについては、国民生活センターでも注意を呼びかけています(https://www.kokusen.go.jp/ )。見積もりの見方は、関連記事の遺品整理の見積もりで後悔しないための全知識で詳しく解説しています。
まず1社に見積もりを依頼して「物差し」をつくる
最初の一歩としては、まず1社に見積もりを依頼して、自分の家の物量でどのくらいの費用になるのかという相場の物差しを持つ方法があります。そのうえで他社にも見積もりを依頼し、相見積もりで比べると判断しやすくなります。
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見積もりを取ることは、処分を決めることではありません。まずは状況を把握するための第一歩として使う方が多いです。
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よくある質問
Q1. 賞状やトロフィーをそのまま捨てるのはバチが当たりませんか?
賞状やトロフィーは、仏壇や位牌のような宗教的な意味を持つ品物ではありません。供養をしなくても処分して差し支えありません。気持ちの区切りをつけたい場合は、写真に撮る、手を合わせてから袋に入れるなど、ご自身が納得できる形で手放すとよいでしょう。
Q2. 勲章は売ってもよいのでしょうか?
売却を考える前に、まず親族に形見として持っていたい人がいないかを確認することをおすすめします。手放すと決めた場合は、勲記などの証書がそろっているかを確認し、古物商や専門の買取店で相談してください。評価や取り扱いは店によって異なる場合があります。
Q3. 退職記念の置き時計や記念品はどうすればよいですか?
まだ使える置き時計や食器などは、家族で使う、欲しい親族に譲る、買取に出すといった選択肢があります。社名や名前が刻まれている物は買取の対象になりにくい場合もあります。寄せ書きや記念のアルバムは、写真に撮ってから手放すと記録を残せます。
まとめ
賞状やトロフィーで手が止まるのは、それだけ故人の人生を大切に思っているからです。迷いながら進めることは、決して薄情なことではありません。
この記事の要点
- 賞状・トロフィーは代表を1〜2点だけ残し、ほかは写真で記録してから手放す。額や盾は中身だけ残すと保管が軽くなる
- 勲章・褒章・記念貨幣は捨てずに価値確認へ。制服・社章・業務書類は勤務先に返却の要否を問い合わせる
- 処分の前に「残してほしい物はある?」と親族に相談の形で声をかけておくと、あとから責められにくい
家財全体の片付けまで考えると、ご家族だけで抱え込むのは大きな負担です。残す物を先に取り分けたら、まずは見積もりで全体の費用感をつかむところから始めてみてください。見積もりの依頼は処分の決定ではありません。「母のため、家族のためにできることをした」と思える進め方を選ぶための材料になります。
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