遺品整理で賃貸の管理会社・大家に連絡する言い方【そのまま使える例文5場面】

夜、子どもを寝かしつけたあとにスマホを開いて、「管理会社にどう言えばいいのか」を調べている。葬儀が終わったばかりで、保険や年金の手続きも途中。親の部屋はそのままで、電話をかけるべきなのは分かっているけれど、何から話せばいいのか言葉が出てこない——そんな状態の方が、この記事にたどり着いているのだと思います。
迷いながら進める方がほとんどです。賃貸物件の契約者が亡くなったときの連絡は、人生で何度も経験するものではありません。言い方を間違えて揉めたらどうしよう、という不安が先に立つのも自然なことです。
筆者は名古屋市で遺品整理・買取・生前整理の実務に携わって4年目になります(古物商許可:愛知県公安委員会)。現場では、ご遺族が管理会社との連絡でつまずく場面を数多く見てきました。この記事では「誰に・どの順で・何と言うか」だけに絞って、電話とメールの例文をそのまま使える形で並べます。
この記事でわかること
- 管理会社・大家への連絡で「話が早く進む」3つの要素(事実・解約希望日・片付けの目処)
- 訃報連絡から鍵返却までの5場面別・電話とメールの例文
- 連絡のタイミングを間違えると揉めやすい2つの原因と、その回避策
- 原状回復(敷金精算・修繕費)でトラブルを防ぐための記録の残し方
管理会社・大家への連絡は「事実・解約希望日・片付けの目処」の3点だけ伝える

最初に答えを書きます。連絡で迷ったら、伝える内容を次の3点に絞ってください。
| 伝える要素 | 具体的に言うこと | なぜ必要か |
|---|---|---|
| ①事実 | 入居者が亡くなった日付と氏名 | 契約の名義人が不在であることの共有 |
| ②解約希望日 | 「○月○日付で解約したい」 | 家賃の発生期間の確定に直結する |
| ③片付けの目処 | 「○月○日までに荷物を撤去予定」 | 次の募集スケジュールの判断材料になる |
現場の経験から言うと、ご遺族が最も悩むのは「いつ・どう解約連絡をすればいいか」という点です。そして話がスムーズに進むかどうかは、感情ではなく事実を3点セットで伝えられているかで決まります。
気持ちの整理がつかないまま電話をすると、どうしても「突然のことで何も手につかず……」という話から始まってしまいます。それ自体は何も悪いことではありません。ただ、管理会社の担当者が知りたいのは、契約がいつ終わるのか、部屋がいつ空くのか、という業務上の情報です。ここがはっきりしないと、相手も次の案内ができず、やり取りが何往復も続いてしまいます。
逆に言えば、3点を押さえた1本の電話で、その後の段取りがほぼ決まることもあります。長々と説明する必要はありません。
連絡の順番を間違えると摩擦が生まれやすい
片付けの目処が立たないまま解約の連絡だけを先にすると、管理会社側は「いつ部屋が空くのか分からない」状態になります。日割り家賃の扱いや、荷物が残った状態では解約手続きを進められないという説明を受け、話が止まってしまうことがあります。遺品整理の業者と撤去日程を決めてから連絡するほうが、やり取りは短く済みます。
解約日が1か月ずれるだけでも、家賃の負担は実際の金額として積み上がります。家賃が月6万円の部屋なら、連絡と撤去の段取りが遅れて1か月分よけいに発生すれば、それだけで約6万円の差になります。段取りを先に固める実務的な理由は、ここにもあります。
【場面別】訃報連絡から鍵返却までの連絡例文5パターン

ここからは実際の文例です。( )内はご自身の状況に置き換えてください。電話は口頭で話す想定、メールは契約者情報が必要になるため物件名と部屋番号を忘れずに入れます。
場面1:訃報の第一報(電話)
亡くなったことを知らせる最初の連絡です。この段階では解約日が決まっていなくても構いません。
「お世話になっております。(物件名)(部屋番号)に入居しております(入居者氏名)の長男の(氏名)と申します。○月○日に(入居者氏名)が他界いたしました。賃貸契約の解約と退去の手続きについてご相談したく、お電話いたしました。手続きの流れと、必要な書類をご教示いただけますでしょうか。」
場面2:契約者死亡の届出(メール)
第一報のあと、記録として残る形で届け出ます。
件名:【解約のご相談】(物件名)(部屋番号)契約者死亡に伴う手続きについて
(管理会社名)(担当者名)様
お世話になっております。(物件名)(部屋番号)の入居者(入居者氏名)の(続柄)、(氏名)と申します。
○月○日に(入居者氏名)が他界いたしました。相続人である私から、賃貸契約の解約と退去手続きのご連絡を差し上げます。
つきましては、下記についてご教示ください。
- 解約届に必要な書類(死亡の記載がある戸籍謄本、相続人を確認できる書類等)
- 解約手続きの進め方と、ご担当窓口
- 退去立ち会いの実施有無
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
(氏名/連絡先電話番号/メールアドレス)
場面3:解約日の相談(電話・メール共通の核になる文)
この記事でいちばんお伝えしたい文面です。先に業者を手配し、撤去完了日を決めてから伝えます。
「○月○日に(入居者氏名)が他界いたしました。相続人である(氏名・続柄)から、賃貸契約の解約と退去手続きのご連絡です。現在、専門業者を手配して○月○日までに荷物の撤去(遺品整理)を完了させる予定です。完了後の室内確認(立ち会い)の日程についてご相談させてください。」
この一文に、先ほどの3点(事実・解約希望日の根拠になる撤去完了日・片付けの目処)がすべて入っています。相手は「この部屋は○月○日に空く」と判断でき、解約日と精算の話を具体的に進められます。
場面4:搬出日と立ち会いの調整(メール)
共用部の使用やエレベーターの養生について、事前に確認しておくと当日のトラブルを避けやすくなります。
件名:【搬出日のご連絡】(物件名)(部屋番号)遺品整理の作業日程について
(管理会社名)(担当者名)様
お世話になっております。(氏名)です。
(物件名)(部屋番号)の荷物搬出について、作業日程が下記のとおり決まりましたのでご連絡いたします。
- 作業日:○月○日( )○時〜○時頃
- 作業業者:(業者名)/担当(氏名)/連絡先(電話番号)
- 搬出車両:(台数・駐車予定場所)
共用部の養生やエレベーターの使用、駐車位置について、事前の届出や注意事項がございましたらご指示ください。
また、搬出完了後の退去立ち会いの日程を、○月○日以降でご調整いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
場面5:鍵返却(メール・持参時の口頭)
鍵は本数まで記録に残しておきます。あとから「返っていない」という話になるのを防ぐためです。
「本日、退去立ち会いにお立ち会いいただきありがとうございました。鍵は玄関○本、郵便受け○本、合計○本をお返しいたします。室内の確認結果と、敷金の精算内容については、後日書面でご連絡いただけますでしょうか。」
メールで補足する場合は、返却日・本数・受領者名を1行で添えておくと記録になります。
💬 現場のひとこと
管理会社さんへの電話、気が重いのはよう分かります。でも向こうも「亡くなった方のお部屋」の対応は慣れてますし、怒られることなんてまずないです。言葉を探して何日も止まってしまうより、「いつ空くか」が言える状態にしてから一本かける。これが結局いちばん早いんですわ。
だから順番としては、業者に部屋を見てもらって撤去日の目処を取る。そのうえで電話する。逆にすると、こちらが答えられない質問ばかりになって、しんどい思いをするだけなんです。
連絡で揉めやすい2つの原因と避け方

実務の現場で「ここでつまずく」というパターンは、ほぼ2つに集約されます。
原因①:片付けの目処が立たないまま連絡してしまう
管理会社や大家は、次の入居者の募集と家賃の発生期間を気にしています。そのため、荷物が残っている状態では解約を受理できないという案内になる場合があります。日割り家賃の扱いについても、部屋が空く日が分からなければ確定できません。
ここを避けるには、順番を入れ替えるだけです。
- 遺品整理の業者に部屋を見てもらい、作業日と所要日数の目処を取る
- 撤去完了日が見えたら、管理会社へ解約の連絡をする
- 解約日・立ち会い日・鍵返却日をまとめて調整する
業者の手配が先というのは、少し逆のように感じるかもしれません。ただ、見積もりを取るだけなら契約の義務はありません。段取りを決めるための情報収集として使うのが実務的です。見積もりの取り方や確認すべき項目については、遺品整理の見積もりで後悔しないための全知識もあわせてご覧ください。
なお、家賃がいつまで発生するかという期限や費用の話は、契約内容によって大きく変わります。解約予告期間(1か月前・2か月前など)は契約書に記載があるため、まず手元の賃貸借契約書を確認するのが先になります。
原因②:原状回復の範囲が見えないまま立ち会いに臨んでしまう
もう一つは、敷金精算や修繕費の範囲をめぐるすれ違いです。実務でよく論点になるのは次のような項目です。
- 長年の喫煙によるクロスのヤニや臭い
- 孤独死などで特殊清掃が必要になった場合の費用
- 畳の表替え、ふすまの張り替え
- 通常の使用による傷みと、それを超える損耗の線引き
どこまで借主側(相続人側)の負担になるのかは、契約書の特約の内容と、個別の状況によって判断が分かれる部分です。この記事で「ここまでは負担しなくてよい」と断定することはできません。
判断の考え方については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。通常損耗と借主負担の区分についての考え方が整理された資料です。 出典:国土交通省「賃貸住宅標準契約書・原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
また、契約や精算をめぐって不安がある場合の相談先として、独立行政法人国民生活センターの消費生活相談窓口が利用できます。消費者ホットライン「188」からも、身近な相談窓口を案内してもらえます。 出典:独立行政法人国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/
立ち会い前に、室内の状態を写真で残しておく
退去の立ち会いでは、その場で指摘された傷や汚れについて説明を求められることがあります。搬出が終わって何もなくなった室内の状態を、床・壁・水回り・建具ごとに写真で残しておくと、あとから話が食い違ったときの確認材料になります。日付が残る形(スマホの撮影データなど)で保存しておくのが実務上のポイントです。業者に作業前後の写真を撮ってもらえるか聞いてみるのも一つの方法です。
連絡前にそろえておくと話が早く進む情報

電話の前に、手元に置いておきたいものを整理します。すべてが必要になるわけではありませんが、聞かれる可能性が高い項目です。
| 項目 | 確認場所 | 用途 |
|---|---|---|
| 物件名・部屋番号 | 郵便物、契約書 | 本人確認と契約の特定 |
| 契約者氏名・契約日 | 賃貸借契約書 | 契約内容の照会 |
| 解約予告期間 | 賃貸借契約書の解約条項 | 解約日の算出 |
| 敷金の額・精算条件 | 賃貸借契約書、特約部分 | 精算見込みの把握 |
| 保証会社の有無 | 契約書、引き落とし履歴 | 家賃支払いの窓口確認 |
| 連絡窓口 | 契約書、物件の掲示物 | 管理会社と大家のどちらに連絡するか |
管理会社が入っている物件では、大家に直接連絡するのではなく管理会社が窓口になるのが一般的です。契約書に管理会社名の記載があれば、まずそちらに電話してください。大家が自主管理している物件の場合は、大家が直接の窓口になります。
相続人が複数いる場合、連絡は窓口を一人に絞っておくほうが混乱しません。兄弟それぞれが別々に管理会社へ連絡してしまい、話が二重になるケースもあります。「代表して私が連絡します」と最初に伝えておくと、相手にとっても分かりやすくなります。
なお、相続放棄を検討している場合は、解約手続きや荷物の処分に着手する前に専門家へ相談してください。相続財産の処分と見なされる行為が、放棄の判断に影響する場合があるためです。相続の放棄については民法に規定があります。 出典:e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
後悔しない業者の選び方と、連絡前の見積もりの使い方
ここまで読んでいただいたとおり、管理会社への連絡と業者の手配は切り離せません。撤去完了日を言える状態を作るために、業者選びが先になります。
選ぶときに見ておきたい点を挙げます。
- 現地を見てから見積もりを出すか — 電話だけの概算は、作業当日に金額が変わる余地が残ります
- 見積書の内訳が項目ごとに分かれているか — 「一式」表記だけだと、何にいくらかかるのか検証できません
- 追加料金が発生する条件が書面にあるか — 残置物の量、駐車位置、階段作業などが想定されます
- 古物商許可の有無 — 買取を伴う場合に必要な許可です
- 作業後の写真や報告があるか — 立ち会い前の記録として役立ちます
費用の感覚もつかんでおくと、見積書を読むときに迷いません。筆者の現場感覚では、ワンルームから1Kで荷物が標準的な量なら作業費はおおむね3万〜8万円程度、2DK〜3DKの実家クラスになると15万〜30万円程度に収まることが多いです。ただしエレベーターのない3階以上、残置物が極端に多い、特殊清掃が必要といった条件が加わると、ここから上に動きます。あくまで目安として使ってください。
見積もりは1社だけ見ても高いか安いか判断できません。そこで実務的におすすめしたいのは、まず1社に見積もりを依頼して「相場の物差し」を手に入れ、そのうえで他社と比べる流れです。基準となる金額と作業内容が分かっていれば、2社目以降の説明が妥当かどうかを自分で判断できます。
一人で全部背負わなくて大丈夫です。業者探しに時間をかけられない状況なら、紹介型のサービスを窓口にする方法もあります。「遺品整理110番」は、加盟店の中から対応できる業者を紹介・手配してくれるサービスです。東証グロース市場に上場するシェアリングテクノロジー株式会社が運営しており、紹介サービスの利用(相談・業者の手配)は無料です。 ※2026年8月14日時点の公式サイト記載。最新の条件は公式サイトでご確認ください。
見積もりは比較のための判断材料として使ってもらって構いません。その場での契約は不要です。まずは「いつ片付けが終わるか」の目安を知るために、1社から話を聞いてみてください。
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よくある質問
Q1. 管理会社と大家、どちらに連絡すればいいですか?
賃貸借契約書に管理会社名の記載がある場合は、管理会社が窓口になるのが一般的です。大家が自主管理している物件では大家が直接の窓口になります。契約書が見つからないときは、物件の掲示板やエントランスに管理会社名と連絡先が掲示されていることが多いので確認してみてください。
Q2. 相続人が複数います。連絡は全員でする必要がありますか?
実務上は、代表者一人が窓口になるほうがやり取りが整理されます。最初の連絡時に「相続人を代表して私が連絡します」と伝えておくと、相手も記録を一本化できます。ただし解約届への署名や必要書類については、相続人全員の対応を求められる場合があります。必要な書類は管理会社に確認してください。
Q3. 荷物を全部出す前に解約の連絡をしてはいけないのですか?
連絡自体をしてはいけないわけではありません。訃報の第一報は早めに入れて構いません。ただし「解約日の確定」については、荷物が残った状態では手続きを進められないという案内を受ける場合があります。撤去完了日の目処が立ってから解約日の相談に入ると、やり取りが短くなります。
まとめ
最後に、この記事の要点を3つに絞ります。
- 伝えるのは3点だけ — 事実(亡くなった日と氏名)、解約希望日、片付けの目処。感情を整えて話す必要はなく、この3つが揃っていれば話は前に進みます
- 業者の手配を先に、連絡を後に — 撤去完了日を言える状態にしてから連絡すると、日割り家賃や解約受理をめぐる摩擦を避けやすくなります。家賃6万円の部屋で1か月分の空家賃を避けられれば、それだけで約6万円の違いになります
- 原状回復は記録で備える — 搬出後の室内を部位ごとに写真で残す。負担範囲の考え方は国土交通省のガイドラインが公表されており、契約書の特約とあわせて確認するのが実務的です
電話をかける前の「何と言えばいいか分からない」という時間が、いちばんしんどいところだと思います。この記事の例文をそのまま読み上げてもらって構いません。そして、撤去日の目処を取るところから始めてみてください。
見積もりは比較のためだけに使ってもらって構いません。その場での契約は不要ですので、まずは一つの基準を持つところからで大丈夫です。
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