【見落としがち】空き家の実家の防犯対策|郵便物と片付けで空き巣リスクを下げる

【見落としがち】空き家の実家の防犯対策|郵便物と片付けで空き巣リスクを下げる

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実家に月2回、片道1時間かけて通う。玄関を開けると、郵便受けからあふれたチラシが床に散らばっている。「これ、外から見たら誰も住んでないってバレバレだよね」——帰りの車の中で、そんな不安がふっと頭をよぎる。片付けは半年前からほとんど進んでいない。

実家じまいの記事を読むと「進め方」や「売却の順番」は出てきます。けれど、片付けが終わるまでの“空き家期間”をどう守るかについては、意外と書かれていません。実際には、この期間が一番長くなるご家庭も少なくありません。

私は愛知県名古屋市で遺品整理・生前整理・買取の実務に携わって4年目になります(古物商許可:愛知県公安委員会)。現場では、片付けが止まったまま1年、2年と空き家が続いているお宅にうかがうことが本当に多いです。親御さんがご存命で「まだ売らないで」と言われている、親族に気を遣っている——迷いながら進めている方がほとんどです。この記事では、決断を迫らずに、通えない日数のほうが圧倒的に多い前提でできることだけを整理します。

この記事でわかること

  • 月に数回しか通えない実家で、優先度の高い防犯の工夫はどれか
  • 郵便物を溜めないための転送手続きと、投函物への対処法
  • 貴重品を先に運び出す段取りと、片付けが防犯につながる理由
  • 近隣への一言の入れ方と、業者に相談するタイミングの目安

空き家の実家の防犯対策、月2回しか通えないなら何からやる?

先に結論からお伝えします。通える回数が限られている場合、優先すべきは次の3つです。

  1. 郵便物・チラシを溜めない仕組みを作る(不在が外から読み取られる最大の手がかりのため)
  2. 貴重品・現金・重要書類を先に運び出す(被害に遭ったときの実害を小さくするため)
  3. 施錠と窓まわりを一巡して点検する(侵入手口として「無締り」の割合が高いため)

防犯カメラやセンサーライトの設置を先に考える方が多いのですが、機器の効果は設置環境によって差があり、断定できるものではありません。それよりも、通わなくても効き続ける対策から着手するほうが、月2回という条件には合っています。

警察庁の防犯情報サイト「住まいる防犯110番」では、住宅への侵入窃盗の手口として鍵のかけ忘れなどの「無締り」が多くを占め、侵入口としては窓やガラス破りが大きな割合を占めると公表されています(出典:警察庁「住まいる防犯110番」 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/bouhan/index.html )。設備を足す前に、まず開いているところを閉じるほうが順番として先だ、ということです。

優先順位のつけ方(通える頻度別の目安)

通える頻度 最優先で手を打つこと 次に検討すること
月2〜3回 郵便物の転送手続き/貴重品の搬出/全窓・全扉の施錠点検 近隣への挨拶/室内から見える現金・貴金属の撤去
2〜3か月に1回 上記に加え、郵便受けの投函口対策/庭木・雑草の手入れ依頼 電気・水道の契約状態の確認/片付けの外部委託
年に数回以下 上記に加え、管理を委託できる先の検討 片付けと査定を同時に進める段取り

通える回数が少ないほど、「その場でやること」より「置いておくだけで効く状態」を作るほうへ重心を移すのがポイントです。

郵便物を溜めない:転送手続きと投函物への対処

郵便受けからあふれた郵便物やチラシは、外から不在を判断される最も分かりやすいサインのひとつです。しかも溜まった郵便物には、金融機関からの通知や保険関係の書類が混ざっていることがあり、個人情報の面でもリスクがあります。

転居・転送サービスを使う

日本郵便では、転居届を提出すると、旧住所あての郵便物などを新住所へ1年間転送する「転居・転送サービス」が提供されています。届出はインターネット・郵便窓口・郵送で受け付けられ、料金はかかりません(出典:日本郵便「転居・転送サービス」 https://www.post.japanpost.jp/service/tenkyo/ )。

お母さまが施設に入居されている場合、転送先を施設にするか、ご自身(キーパーソン)の住所にするかは、ご家族の状況によります。どちらにするかは、施設側の受け取り体制や、書類を実際に処理する方が誰かで決めるとよいでしょう。

なお、転居届の提出には届出人の本人確認が必要で、代理で手続きする場合の取り扱いも定められています。詳しい条件は変わる場合があるため、手続き前に上記の公式ページで最新の案内を確認してください。

転送されないものへの対処

転送サービスの対象は郵便物などに限られ、投函されるチラシやフリーペーパーは対象外です。むしろ空き家で溜まりやすいのはこちらです。

溜まるもの 対処の方向性 補足
郵便物・DM 転居届による転送手続き 転送は原則1年間で、継続には再度の届出が必要
チラシ・ポスティング 投函口へのシール掲示/受け箱を大きめのものに交換 すべては止められない前提で、あふれない工夫を優先
新聞 販売店へ停止の連絡 契約が続いていないか確認
玄関前の宅配物 定期便・頒布会の解約状況を確認 置き配指定の解除も併せて

「チラシを止める」より「あふれない・目立たない状態にする」ほうが現実的です。郵便受けの受け箱を容量の大きいものに替えるだけでも、外から見える印象はかなり変わります。市販の大容量ポストは本体で約5,000〜1万5,000円、支柱付きの据置型でも2万円台までが中心で、費用の割に効き目のある対策です。

留守が分かりにくくなる一般的な工夫と、施錠・窓まわりの点検

「人の気配」に関わる要素をひとつずつ潰す

空き家かどうかは、郵便物以外にもさまざまなところから読み取られます。以下は、通う頻度が少なくても手を打ちやすい項目です。

  • 庭木・雑草:伸びきった庭は手入れがされていない印象を与えます。近隣とのトラブル予防にもなるため、シルバー人材センターや造園業者への定期依頼を検討する価値があります(一般的な戸建ての庭で、草刈り・剪定1回あたり約1万〜3万円が目安です)
  • カーテン:室内が丸見えの状態は、家財の有無まで読み取られます。レースなどで視線を遮る状態にしておくのが無難です
  • 電気の契約:解約するとタイマー照明などが使えなくなります。片付けの作業にも電気は要るため、片付けが終わるまでは残しておく判断をされる方が多いです
  • ポスト表札まわり:ガムテープでの目張りなど、明らかに「不在対応」と分かる貼り紙は避けます

タイマー式の照明などを使う方法もありますが、その効果を断言することはできません。あくまで「不在が読み取られにくい状態に近づける」程度の工夫として考えてください。

施錠と窓の点検は「一巡する順番」を決める

通うたびに気になったところだけ見ていると、抜けが出ます。訪問のたびに同じ順路で一巡するルールを決めておくと、点検が作業になって続きます。

  1. 玄関 → 勝手口 → 掃き出し窓 → 各居室の窓 → 浴室・トイレの小窓 → 2階の窓
  2. 補助錠が付いている箇所は、補助錠までかかっているかを確認
  3. 雨戸・シャッターがある窓は下ろす
  4. 屋外の物置・車庫も施錠対象に含める

浴室やトイレの小窓、2階の窓は、換気のために開けたまま忘れられがちです。侵入口として窓が大きな割合を占める以上、ここは面倒でも一巡する価値があります。

放っておくと積み上がるのは、被害だけではありません

空家等対策の推進に関する特別措置法では、そのままにしておくと「特定空家等」に該当するおそれのある状態の空き家を「管理不全空家等」として位置づける仕組みが設けられています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます(出典:国土交通省「空き家対策」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html )。

これは「早く売りなさい」という話ではありません。まだ売ると決めていなくても、家の傷みと管理の負担は時間とともに積み上がる、というファクトです。判断を急ぐ必要はありませんが、状態を把握しておくことには意味があります。

貴重品を先に運び出す段取り|片付けが防犯につながる理由

防犯対策として最も効くのは、実は**「持っていかれて困るものを、その家に置かないこと」**です。そしてこれは、片付けの第一歩とまったく同じ作業になります。

先に運び出しておきたいもの

  • 現金・預金通帳・印鑑・キャッシュカード
  • 権利証、保険証券、年金関係の書類、契約書類
  • 貴金属・宝飾品・時計・記念硬貨
  • 家族の写真、手紙などの代替のきかないもの
  • 実印や身分証の類

このうち書類関係は、いずれ売却や相続の手続きで使う可能性があります。探すのは、慌ただしい局面より落ち着いているときのほうが向いています。

見落とされやすい保管場所

実務で繰り返し確認しているのは、貴重品は「しまってある場所」より「隠してある場所」から出てくるということです。

  • タンスや机の引き出しは、中身を出すだけでなく奥まで手を入れて確認する
  • 本やアルバムは、1冊ずつパラパラとめくってから処分の判断をする
  • 押し入れの天袋・床下収納など、普段開けない場所も一巡する

このあたりを飛ばして処分に回してしまうと、あとから戻せません。急がなくてよいので、通うたびに一部屋ずつ進める形でも十分です。

💬 現場のひとこと

貴重品の置き場所って、だいたい「本の間」なんですわ。現場で本棚をパラパラやっていて、まとまった現金が挟まっているのを見つけたことがあります。金額はこちらで数えずご遺族にそのままお渡ししましたが、ご本人も「そんなところに入れてたの?」という顔をされていました。

隠した本人が施設に入られていたり、亡くなられていたりすると、場所を聞くこともできません。だから本とアルバムだけは、面倒でも一冊ずつめくってから処分に回すのが結局早いです。空き家に置いたままにしておくより、先に手元へ移しておくほうが安心でもありますしね。

片付けが進むと、防犯のうえでも状態が良くなる

物が減ると、次のような変化が起きます。

片付けが進むと 防犯・管理面での変化
室内から家財が減る 外から見えたときの「取るものがありそう」な印象が下がる
動線が確保される 訪問時の点検・確認が短時間で一巡できる
貴重品が手元に移る 万一の被害でも実害を小さくできる
状態が把握できる 雨漏りや破損など、傷みの兆候に気づきやすくなる

物量が多いお宅では、まず入り口から荷物を出して「動ける場所」を作るのが順番です。全体を見渡して途方に暮れるより、一歩ぶんの空間を作るほうが先に進みます。また、片付けの極意は「まず明らかなゴミを捨てて物量を減らす」ことで、迷うものから手をつけると手が止まる、というのも実務上のポイントです。

そして、写真や手紙のようなその場で決められないものは、保留箱に入れて先送りして構いません。決断を代われるものではありませんので、急かされる筋合いはありません。

ご近所への一言の入れ方|「見てもらう」ことが一番の防犯

空き家の管理で意外と効くのが、近隣の方の目です。ただし、伝え方には少しコツがあります。

伝えたほうがよいこと・言わないほうがよいこと

伝えるとよいこと 避けたほうがよいこと
母が施設に入り、今は自分が管理していること 「月に2回しか来られない」など、不在パターンの具体的な明示
連絡先(携帯番号など) 家財や貴重品の中身に関する話
業者が出入りする予定がある日 売却の時期や金額の見通し
庭木などで迷惑をかけたら連絡がほしい旨 鍵の保管場所に関わる話

ポイントは、「管理している人がいる」と伝わりつつ、不在の周期は具体的に伝わらないバランスです。「実家の管理を引き継ぎまして、時々様子を見に来ています。何かありましたらこちらにご連絡ください」——このくらいで十分です。

作業日にご近所へ一声かけておくと、トラックの出入りや騒音のトラブルも起きにくくなります。名刺代わりに連絡先のメモを渡しておくと、後々の連絡がスムーズです。

親族への一言も、同じ考え方で

「勝手に処分するな」と言われた経験があると、ご親族への連絡自体が気重になります。ただ、防犯や管理の話は、処分の話とは切り分けて伝えられます。

「まだ売る話ではないのですが、留守が続くので郵便物だけ止めて、通帳と権利証は私が預かることにしました」——このように管理として何をしたかを先に共有しておくと、あとで「聞いていない」となりにくくなります。処分の判断は、その先で改めて相談すればよい話です。

後悔しない片付けの依頼先の選び方|見積もりは処分を決めることではありません

「片付けを進めたほうがいいのは分かっている。でも、月2回では終わらない」——ここで業者への相談を考え始める方が多いです。

費用の目安を、先に幅で持っておく

金額の見当がまったくつかないと、提示された見積もりが高いのか安いのかを判断できません。私が実務で立ち会う範囲では、間取りごとの費用感はおおよそ次の幅に収まります。

間取り 費用の目安(作業一式) 変動しやすい要因
1K・1DK 約4万〜10万円 物量、エレベーターの有無
2DK・2LDK 約10万〜25万円 家具家電の量、搬出距離
3LDK以上の戸建て 約20万〜60万円 物置・庭・納屋の有無、階数

同じ間取りでも、物量とトラックの横付けができるかどうかで金額は倍近く動きます。買取のつく品(貴金属、状態のよい家具、工具類など)があれば、その分が費用から差し引かれることもあります。あくまで幅の目安として持っておき、実際の金額はご自宅を見てもらったうえで確認してください。

相談前に押さえておきたい確認事項

トラブルとして報告されている事例

遺品整理・空き家片付けの分野では、相場からかけ離れた高額な追加請求をされた、預けた鍵を紛失された、着手や進捗の連絡がないまま作業が数か月に及んだ、といったトラブルが報告されています。

こうした事態を避けるため、依頼前に次の3点を書面で確認しておきます。

  1. 「最大でいくらになりますか」を聞く(提示額が下限なのか上限なのかで意味がまったく変わります)
  2. 作業期間と進捗連絡の頻度を決めておく(遠方に住んでいる場合はとくに重要です)
  3. 鍵を預ける前に、業者の所在地・許可の有無を確認する(古物商許可、一般廃棄物の処理ルートなど)

見積もりの読み方や、金額が膨らむ要因については、遺品整理の見積もりで後悔しないための全知識で詳しく整理しています。相見積もりを取る前に一読しておくと、比較の観点がはっきりします。

費用を抑えたい場合の段取り

実務で費用を下げやすいのは、残すものを先にご家族側で取り出しておくことです。業者と一緒に「要る・要らない」を仕分けしながら進めると、その時間ぶんの作業費がかかります。手元に残すものだけを先に確保し、残りを処分依頼するほうが、結果として総額が下がる場合があります。

前の章でご紹介した「貴重品を先に運び出す」作業は、防犯対策であると同時に、この費用圧縮の下準備にもなっています。通える月2回を、そこに充てるという考え方です。

まず1社に見積もりを依頼して、相場の物差しを取る

比較検討の前に、そもそも「うちの家だといくらぐらいか」が分からないと、高いか安いかの判断ができません。まずは1社に見積もりを出してもらい、金額の物差しを作る。そのうえで、他社と相見積もりを取って比較する——この順番が現実的です。

見積もりを取ることは、処分を決めることではありません。お母さまがご存命のうちに動くことへの後ろめたさを感じる方は多いのですが、状況を把握するための第一歩として使う方がほとんどです。金額を知ったうえで「まだ待つ」という判断をしても、まったく構いません。

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よくある質問

Q1. 空き家の電気や水道は、解約したほうがいいですか?

片付けが終わるまでは残しておく判断をされる方が多いです。作業中の照明や掃除に使いますし、通水しないことで排水口の封水が切れて臭いが上がってくることもあります。ただし基本料金は発生し続けます(電気・水道あわせて月に数千円程度が目安です)ので、片付けの見通しが立った段階で解約時期を決めるのが現実的です。

Q2. 母がまだ「売らないで」と言っています。片付けだけ進めても大丈夫でしょうか?

ご本人の意向は尊重しつつ、管理として必要な作業(郵便物の転送、貴重品の保管、施錠点検)は分けて進められます。片付けについても、明らかなゴミの処分や、傷むと困るものの移動から始めれば、家そのものを手放す話にはなりません。「売却の準備」ではなく「家を傷めないための管理」として説明すると、ご本人にも親族にも伝わりやすくなります。多くのご家庭が、同じように迷いながら進めておられます。

Q3. 防犯カメラやセンサーライトは付けたほうがいいですか?

設置環境によって効果に差があり、一律には言えません。設置には電源の確保や配線、費用の問題も伴います。優先順位としては、無締りをなくす・郵便物を溜めない・貴重品を置かない、といった手を打ってから検討する順番が合理的です。侵入手口の傾向については、警察庁「住まいる防犯110番」( https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/bouhan/index.html )で公表されている情報が参考になります。

まとめ|片付けを進めることが、そのまま防犯になります

最後に要点を3つにまとめます。

この記事の要点

  1. 通えない前提で効く対策から手を打つ — 郵便物の転送手続き、貴重品の搬出、施錠と窓の一巡点検。この3つは、通っていない期間もずっと効き続けます
  2. 不在の周期は伝えず、「管理している人がいる」ことは伝える — 近隣・親族への一言は、内容を選べば防犯にも親族関係の予防にもなります
  3. 片付けと防犯は同じ作業 — 貴重品を先に手元へ移し、物量を減らすことが、被害の実害を小さくし、その後の費用も抑えます

売るかどうかを、今日決める必要はありません。ただ、家の傷みも、郵便物も、片付かない物量も、時間とともに積み上がっていくのは事実です。「まだ早いかも」という迷いを抱えたまま進める方が、ほとんどです。

まずは金額と作業内容を知って、そのうえでご自身のタイミングで判断してください。見積もりを取ることは、処分を決めることではありません。

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現場でご家族から一番よくいただく言葉は、「部屋も気持ちもスッキリしました」というものです。片付けは物を減らす作業に見えて、実際にはご家族の気持ちの区切りをつくる作業でもあります。焦らず、できるところから一歩ずつ進めていただければと思います。

ショウ

この記事を書いた人

ショウ

片付け・遺品整理の現場に3年携わってきました。古物商としての買取の知見も交えて、後悔しない片付けのコツを発信しています。

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